終章へ向けて

 語り始めた物語には必ず結末をつけなければならない。わたしはそう思っている。職業作家であれば、それは当然の義務であろうし、そうでないわたしにとっても、自分が物語を始めざるをえなかったことへの義務であると思っている。くだらない意地なのかもしれないが。それは、例えばここで書いていることに限った話ではなく、日常の中で生起してしまうような、わたし自身についての物語でも同じである。開かれたままの物語が自分にはなんと多いことか。どうしてそのままにしてきたのか。たぶんその悔恨から、新たな語りを始めるのだろう。わたしは結末を探し続ける。それがどれほど遠くとも、あるいはどれだけかかるとしても。