たまに、今なら魔法が使えると思うことがある。そしていつも、つかみ損ねてしまう。

たとえとして出すにもあまりに不遜だが、「キューブラ・カーン」の最後、詩人がかろうじて捉まえていた危ういイメージがコールリッジの手からふいとこぼれ落ち、ここで書き終えるしかなかったのだという、その伝説を思い出す。