ビルの屋上の鉄階段は妙にはっきりとした輪郭で、足元から頭の上まで伸び続けていた。踏み台の隙間から切り取られた下界が遠近感をなくしてそこにいる。わたしは手すりをしっかりと捕まえて、平衡感覚を失った者の足取りでそれでも一歩ずつ登る。明け方の雑…
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