回遊魚にもなれない

 結局付近を少々うろつきすぐに戻ってきてしまう。電器屋で電球と蛍光灯を買い、街角の小さな本屋で週刊誌を二冊と煙草を仕入れ、自販機でペットのお茶を二本。お茶と雑誌は片手で握っていたので少しは握力も回復したかもしれない。出てから30分も経ってはいないではないか、だが行くところもなく出たのだからこんなものなのかもしれない。蛍光灯をはめようとするが、長さが倍も違う。サイズを聞かれて、これと同じと店の天井の電燈をそのまま指差したのだが。間違いなくそのときにはわたしの部屋の蛍光灯と同じ長さの電飾管が、平べったい空にへばりついていたのだが。本屋に立ち寄っている間に成長でもしたのだろうか。ともかくどうしようもない、長すぎるガラスの管を抱えて困り果てるほかはない。だが、もう今はやめておこう、とにかく今はやめておこう。