猫になりたい

 草野マサムネではないが猫になりたいと思う。人に言ったら笑われた。それでも懲りずにいろんな人に何度も言っている。たいてい笑われるか、あるいはもうすでに猫のようだというようなことを言われる。わたしがなりたいのはこんなんじゃない。
 でも飼うなら犬だ。たぶん死んでも猫は飼わないだろう。従兄弟の家で猫を数匹飼っている。見ていて確かにいいと思う、かわいらしいし、思わずかまいたくなるところがある。だが、見てると痛くもある。だから絶対に猫は飼わないし、従兄弟の猫もこらえてかまわないことにしている。
 昔まだ両親と暮らしていた頃、犬を飼っていた。性格はまったく違ったが、ともに賢く仲のよい犬だった。二匹とも雄犬だった。猫とは違ったやり方で人懐こく、言うことをよく聞いた。わたしが小学校の一年生だった頃から大学に入るまでずっと飼っていた。大学に入り一人暮らしを始めて三年ほどで年寄りの方の犬が死に、もう一匹はそれから数年だけさみしく生きていた。犬はいい。素直にそつなくかまって欲しさを出してくれる。こちらもかまってやることに抵抗を持たなくて済む。