波に関する一般論

 ここ二週間ほど、恒常的に調子の悪い日が続いていた。もちろんその中に上下はあるのだが、程度としてはさほどひどくはなかった。
 もともと波のある方である。いい時、悪い時があるのはいつものことだ。その程度に考えていた。たいていは続いても一週間かそこらのことなので、多少長いとは思ったが、さほどひどいものでもなかったし、いいかげんに嵐は過ぎ去るだろうと思った。
 ひと月のうち十日くらいはそういう日はあるが、普段はもっと程度がひどい。その間は、自分を作って、それを維持しておくのが困難になるし、それなのに妙に人恋しくなりもする。迷惑をかけてしまうことになりかねないので、たいていはなるべく人を遠ざけるようにしている。もっとも調子の悪い時でなくとも、そうした傾向は多分にあるので、常にそんなことになってもいるのだが。最近はただでさえ自分を保つのが難しくなっているのだし。
 ともかく深く考えることもなく、嵐が過ぎるのを待っていた。思えば考えないようにしていたのかもしれない。そうこうするうちに二週間ほどが過ぎ、それでも終わる気配もなく、むしろゆるやかだが徐々に悪化していった。これはまずいという予感はあったが、どうすることもできない。