整理しがたいものとして

 中島らもが死んだ。
 それを悼み悲しむべきなのか、「お疲れさま」と言うべきなのか、まだ、わからない。

 しばらく前に、その業界につながりのある人から、重体という噂を聞いていた。詳細は何もわからなかった。自殺未遂ではないかと話し合っていたが、確かなことは何もわからなかった。
 それ以上のことを聞かないうちに、わたし自身が人と話もできないような状態に陥ってしまい、やがてその話題のことすら忘れてしまっていた。

 知り合いですらない、ただ、たまたま縁のないこともないような業界の片隅に、わたしが引っかかっていたことがあるというだけの、それだけの人だが書くものはよかった。ただ面白いと言うだけではなく、わたしの個人的なところになにか触るようなものがある本を書いた。それが何かはまだわかっていない。