沈み込んだ夜の底で

 そういえば昨晩、と言ってもほんの数時間前のことで眠ってもいないのでついさっきという感覚でもあるのだが、このようにあることしかできない自分の辛さに我知らず涙が出た。部屋を片づけながら何も片付かず座り込み、どれほどの間そうしていたのだろうか、最近自分の周りで起きたことをとりとめもなく手繰りかえし、会った人々のことを指折り数えた。別に取り立てて言うこともないような平均的日常、だがその日常がわたしを削り取っていくのだ。その中でこともなく生きられないわが身の弱さ、なのにこともないふりをしようとする愚かしさ、それすら全うすることもできない情けなさ。ままならないのはわたし自身であるのだ。ここにあることがどうしてこのように辛いのか、もはや生きていなくてもよいとも思う。死にたい、と、これまでどれだけ繰り返し考えてきたのだろうか。明かりを消した暗いフローリングの上でこれらのことを煮つめていくとわずかに涙のようなものが顔をおおっていた手のひらにこぼれた。ほんの少しでも泣けるようになったのならば、それはそれでマシかと思った。