サタンが町にやってくる

 ちょっと追加でネタでも拾おうかと思い、放っておいた先行論文を読む。思えばそれが間違いの始まりだった。
 現在自分が書いている論文とネタから論理までかぶりまくっている。これはマズい。およそ半分くらい同じことが書かれている。引用箇所から傍証のしかたまでほぼ同じ、作品に対するスタンスの取り方が違うので、(わたしのやり方からすれば)危なく思われることもいくつかあるが、それを差し引いても全体の半分くらいがほぼ同じ内容である。本格的にヤバい。無視する、見なかったことにする、という考え方もないではないが、まあ剽窃の謗りは免れまい。幸い、なのかどうかよく分からないが、とにかく不幸中の幸いにして、同じ論理展開や部分部分でほぼ全く同じ主張を取りながらも、肝心の結論がわたしのものと、完全に正反対である。また、その研究の核となっている主張のひとつには明らかな穴と見落としがある。そこを突けば対抗的な主張はたぶんできるはずだ。そんなこともあり、二日ほど考えた末、時間的にかなりぎりぎりだが、骨格から組み直すことにした。
 一年くらい前に見つけていた論文だったのだが、タイトルが(結論が正反対なのがそこに反映されていたのだが)いかにもつまらなさそうだったので、ほとんど最初しか読まずに放置してあった。というか、いかにもつまらなさそうな、奇をてらったようなタイトルだったので完全に無視していたんだよなあ。ああ、あのときにちゃんと読んでおけば、と思いもするがどうしようもない。とにかく、自分の論の骨格を大手術しなければ・・・〆切まであと半月である。