胃もたれ

 朝起きてユリシーズを読む。18挿話。独白。朝から読むようなものではないことに気がついてすぐにやめる。それでもちょっとは読んでしまったので、まるで二日酔いの朝にうっかり油気の多いレバーソーセジでもかじってしまったような気分になる。ジョイスなど手に取るのではなかった。
 とは言え、ではどのようなものなら朝から読むにふさわしいか、ちょっと思いつかない。手元に本は山ほどあるが、あまり朝向きではないようだ。必然的に近いうちに読まざるを得ない本はいくつかある。だがどれも朝向きではない。近いうちに読もうと積んである本を見ても、ボルヘス島田雅彦、筒井、小林信彦メルヴィルスタージョンナボコフ、なんと言うか、朝から吐いてしまいそうだ。なんだろう、二日酔いの朝にほんとうに軽く、お粥なり精進のすまし汁なりをすするといった、そんな風情の本はないものか。OEDなり何なり辞書をぱらぱら読むほうが、朝はまだ胃もたれせずに楽しめる。